カテゴリ: Linux 更新日: 2026/01/12

Linuxディストリビューションの違いとは?初心者向け完全ガイド

Linuxディストリビューションの違いは何が違うのか?
Linuxディストリビューションの違いは何が違うのか?

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「Linuxっていろいろ種類があるって聞いたんですけど、何が違うんですか?」

先生

「Ubuntu、CentOS、Debianなど、いろいろなLinuxディストリビューションがありますね。これらは中身の基本部分は同じなんですが、見た目や使いやすさ、付属ソフトなどが違うんですよ。」

生徒

「同じLinuxなのに、どうして種類がたくさんあるんですか?」

先生

「それぞれ目的や用途が違うからです。初心者向け、サーバー向け、軽量版など、使う人や場面に合わせて作られているんです。詳しく見ていきましょう。」

1. Linuxディストリビューションとは何か?

1. Linuxディストリビューションとは何か?
1. Linuxディストリビューションとは何か?

Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネル(Linuxの中核部分)に、さまざまなソフトウェアやツールを組み合わせて、誰でも使えるようにパッケージ化したものです。「ディストリビューション」は「配布」という意味で、略して「ディストロ」とも呼ばれます。

たとえるなら、スマートフォンのAndroidと同じです。Androidもいろいろなメーカーがカスタマイズしていますよね。SamsungのGalaxy、SonyのXperiaなど、基本は同じAndroidですが、見た目や機能が少しずつ違います。Linuxディストリビューションも同じように、基本は同じLinuxですが、それぞれ独自の特徴を持っています。

Linuxカーネルは、コンピュータのハードウェア(キーボード、マウス、ディスプレイなど)を制御する最も重要な部分です。しかし、カーネルだけではユーザーは何もできません。そこで、ファイル管理ソフト、テキストエディタ、ブラウザなどのアプリケーションを加えて、実際に使える形にしたものがディストリビューションなのです。

2. パッケージ管理システムの違い

2. パッケージ管理システムの違い
2. パッケージ管理システムの違い

Linuxディストリビューションの大きな違いの一つが、パッケージ管理システムです。パッケージとは、ソフトウェアをインストールしやすいようにまとめたもので、パッケージ管理システムはそれを簡単にインストール・削除・更新するための仕組みです。

Windowsでいうと、アプリをダウンロードしてインストールする作業を、自動で行ってくれるシステムだと考えてください。主なパッケージ管理システムには以下のようなものがあります。

  • APT(Advanced Package Tool):Debian系ディストリビューション(Ubuntu、Debian、Linux Mintなど)で使われます
  • YUM/DNF:Red Hat系ディストリビューション(CentOS、Fedora、Red Hat Enterprise Linuxなど)で使われます
  • Pacman:Arch Linuxで使われます
  • Zypper:openSUSEで使われます

たとえば、Ubuntuでソフトウェアをインストールする場合は以下のようなコマンドを使います。


sudo apt install vim
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
vim をインストールしています...

一方、CentOSでは以下のようになります。


sudo yum install vim
依存関係を解決しています...
vim をインストールしています...

このように、ディストリビューションによってコマンドが異なるため、使い慣れたディストリビューションから別のものに移行するときは、新しいコマンドを覚える必要があります。

3. デスクトップ環境の違い

3. デスクトップ環境の違い
3. デスクトップ環境の違い

デスクトップ環境とは、ユーザーが操作する画面のことです。Windowsでいうスタートメニュー、タスクバー、ウィンドウの見た目などが該当します。Linuxでは、このデスクトップ環境を自由に選べるのが大きな特徴です。

代表的なデスクトップ環境には以下があります。

  • GNOME:Ubuntu、Fedoraなどで採用されている、モダンでシンプルなデザイン
  • KDE Plasma:高機能でカスタマイズ性が高く、Windowsに似た使い心地
  • XFCE:軽量で古いパソコンでも快適に動作する
  • Cinnamon:Linux Mintで採用されている、使いやすさ重視のデザイン

同じUbuntuでも、デスクトップ環境を変えることで見た目や操作感がまったく変わります。たとえば、Ubuntu標準版はGNOMEを使っていますが、Kubuntu(KDE版)、Xubuntu(XFCE版)など、デスクトップ環境が違うバリエーションも提供されています。

デスクトップ環境は、インストール後に変更することも可能です。たとえば、UbuntuにKDE Plasmaを追加インストールすることもできます。


sudo apt install kde-plasma-desktop
KDE Plasma デスクトップをインストールしています...

4. リリースサイクルとサポート期間の違い

4. リリースサイクルとサポート期間の違い
4. リリースサイクルとサポート期間の違い

Linuxディストリビューションには、リリースサイクル(新しいバージョンが出る頻度)とサポート期間(アップデートや修正が提供される期間)に違いがあります。

固定リリース型は、定期的に新バージョンがリリースされるタイプです。Ubuntuは6ヶ月ごとに新バージョンが出ますが、LTS(Long Term Support)版は2年ごとにリリースされ、5年間のサポートが受けられます。安定性を重視するサーバーや企業では、LTS版が好まれます。

ローリングリリース型は、常に最新の状態を保つタイプで、Arch LinuxやopenSUSE Tumbleweedなどが該当します。大きなバージョンアップという概念がなく、日々少しずつ更新されていきます。最新のソフトウェアをすぐに使えるメリットがありますが、不安定になることもあります。

Ubuntuのバージョン情報を確認するには、以下のコマンドを使います。


lsb_release -a
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 22.04.3 LTS
Release:        22.04
Codename:       jammy

業務で使う場合や初心者には、サポート期間が長いLTS版や固定リリース型がおすすめです。一方、開発者や最新技術を試したい人には、ローリングリリース型が向いています。

5. 用途別の違い:デスクトップ向けとサーバー向け

5. 用途別の違い:デスクトップ向けとサーバー向け
5. 用途別の違い:デスクトップ向けとサーバー向け

Linuxディストリビューションは、用途によっても大きく分かれます。主にデスクトップ用とサーバー用に分類できます。

デスクトップ向けディストリビューションは、普段使いのパソコンとして使うことを想定しています。見た目がきれいで、マウスやタッチパッドで直感的に操作でき、ブラウザやオフィスソフトなどがすぐに使えるようになっています。代表例は、Ubuntu Desktop、Linux Mint、Fedora Workstationなどです。

サーバー向けディストリビューションは、Webサーバーやデータベースサーバーなど、インターネット上でサービスを提供するコンピュータ用です。デスクトップ環境は通常インストールされず、コマンドラインだけで操作します。安定性とセキュリティが最優先されます。代表例は、Ubuntu Server、CentOS(現在はRocky LinuxやAlmaLinuxに移行)、Debianなどです。

また、軽量ディストリビューションという分類もあります。古いパソコンや性能の低いコンピュータでも快適に動作するよう、機能を絞り込んだものです。Puppy Linux、antiX、Lubuntuなどがあります。メモリが少ないパソコンを再利用したいときに便利です。

6. 初心者向けディストリビューションと上級者向けの違い

6. 初心者向けディストリビューションと上級者向けの違い
6. 初心者向けディストリビューションと上級者向けの違い

Linuxディストリビューションには、初心者向け上級者向けの違いもあります。

初心者向けディストリビューションは、インストールが簡単で、グラフィカルなツールが充実しており、困ったときの情報が豊富です。代表的なのは以下です。

  • Ubuntu:最も人気があり、日本語の情報も豊富で、初めてLinuxを使う人に最適
  • Linux Mint:Windowsからの移行がしやすいデザインで、動作も軽快
  • Zorin OS:Windowsに似た見た目で、直感的に操作できる

上級者向けディストリビューションは、自分でカスタマイズする前提で、最小限の構成からスタートします。Linux上級者や開発者が好んで使います。

  • Arch Linux:すべて自分で設定する必要があり、学習効果は高いが難易度も高い
  • Gentoo Linux:ソースコードからコンパイルして最適化できる、最も自由度が高い
  • Slackware:古くからある伝統的なディストリビューション、シンプルさを重視

初心者向けディストリビューションでは、ソフトウェアのインストールもグラフィカルな画面から簡単にできます。一方、上級者向けでは、コマンドラインでの操作が基本となります。

7. コミュニティとサポート体制の違い

7. コミュニティとサポート体制の違い
7. コミュニティとサポート体制の違い

Linuxディストリビューションには、企業がサポートするものコミュニティが運営するものがあります。

企業サポート型は、企業が開発・保守を行い、有償のサポートサービスも提供しています。業務で使う場合、問題が起きたときに問い合わせできる窓口があるのは大きな安心材料です。代表例は以下です。

  • Red Hat Enterprise Linux(RHEL):Red Hat社が提供、エンタープライズ向けの有償サポート
  • Ubuntu:Canonical社が開発、無償版と有償サポート版がある
  • SUSE Linux Enterprise:SUSE社が提供、ヨーロッパで人気

コミュニティ型は、世界中のボランティア開発者が協力して作っています。基本的に無償ですが、公式のサポート窓口はありません。代わりに、フォーラムやWiki、メーリングリストなどで情報交換が行われます。代表例は以下です。

  • Debian:歴史が長く、安定性を重視、多くのディストリビューションのベースになっている
  • Fedora:Red Hatが支援するコミュニティプロジェクト、最新技術を積極的に採用
  • Arch Linux:シンプルさを哲学とする、ドキュメントが充実

どちらが良いかは用途次第です。個人で使う分にはコミュニティ型で十分ですが、企業のサーバーで使うなら企業サポート型が安心です。

8. セキュリティとプライバシー重視のディストリビューション

8. セキュリティとプライバシー重視のディストリビューション
8. セキュリティとプライバシー重視のディストリビューション

近年、セキュリティプライバシーを特に重視したディストリビューションも注目されています。

Kali Linuxは、セキュリティテストやペネトレーションテスト(システムの脆弱性を調べる作業)専用のディストリビューションです。ハッキングツールが最初から多数インストールされており、セキュリティ専門家やエンジニアが使います。初心者が普段使いするものではありませんが、セキュリティを学びたい人には興味深い選択肢です。

Tailsは、プライバシー保護に特化したディストリビューションです。すべての通信がTorネットワークを経由し、匿名性が保たれます。また、USBメモリから起動するライブシステムで、使用後は痕跡を残しません。ジャーナリストや人権活動家などが、監視から身を守るために使うこともあります。

Qubes OSは、セキュリティを最優先に設計されたディストリビューションです。仮想マシンを使って、作業ごとに環境を分離することで、万が一ウイルスに感染してもシステム全体には影響が及ばないようになっています。

これらの特殊なディストリビューションは、一般的な用途には向きませんが、特定の目的には非常に強力です。

9. 主要ディストリビューションの系統図

9. 主要ディストリビューションの系統図
9. 主要ディストリビューションの系統図

多くのLinuxディストリビューションは、いくつかの主要な系統から派生しています。これを理解すると、ディストリビューション選びがしやすくなります。

Debian系は、Debianをベースとした系統で、最も多くの派生ディストリビューションがあります。APTパッケージ管理システムを使い、安定性が高いのが特徴です。主な派生ディストリビューションには、Ubuntu、Linux Mint、elementary OS、Kali Linuxなどがあります。Ubuntuからさらに派生したものも多数あります。

Red Hat系は、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をベースとした系統です。YUMやDNFパッケージ管理システムを使い、企業での採用が多いです。主な派生ディストリビューションには、Fedora、CentOS(後継のRocky Linux、AlmaLinux)、Scientific Linuxなどがあります。

Arch系は、Arch Linuxをベースとした系統で、ローリングリリース方式を採用しています。Pacmanパッケージ管理システムを使い、カスタマイズ性が高いです。主な派生ディストリビューションには、Manjaro、EndeavourOS、Garuda Linuxなどがあります。

独立系もあります。Gentoo、Slackware、openSUSEなどは、他のディストリビューションをベースとせず、独自の哲学で開発されています。

系統を知っておくと、あるディストリビューションで学んだことを、同じ系統の別のディストリビューションでも活かせます。

10. 自分に合ったディストリビューションの選び方

10. 自分に合ったディストリビューションの選び方
10. 自分に合ったディストリビューションの選び方

たくさんのLinuxディストリビューションがある中で、どれを選べばいいか迷うのは当然です。以下のポイントを参考に選んでみてください。

パソコンの性能を考慮しましょう。新しいパソコンなら、Ubuntu、Fedora、Linux Mintなど、どれでも快適に動きます。古いパソコンや性能が低いパソコンなら、Lubuntu、Xubuntu、antiXなどの軽量版を選びましょう。

目的も重要です。普段使いなら、Ubuntu、Linux Mint、Zorin OSなどの初心者向けが最適です。サーバー構築なら、Ubuntu Server、Debian、CentOS系(Rocky LinuxやAlmaLinux)を選びます。プログラミング学習なら、Fedora、Ubuntuなどが開発ツールが充実しています。

情報の豊富さも見逃せません。困ったときに日本語で調べられる情報が多いのは、Ubuntuが圧倒的です。次いでCentOS、Debianなども情報が見つかりやすいです。マイナーなディストリビューションは、英語の情報しかないこともあります。

見た目の好みで選んでもかまいません。デスクトップ環境は後から変更できますが、最初から自分好みの見た目のものを選ぶと、楽しく使えます。

迷ったら、まずUbuntuから始めることをおすすめします。情報が豊富で、コミュニティも活発、初心者に優しい設計になっているからです。慣れてきたら、他のディストリビューションも試してみると、Linuxの奥深さがわかって面白いですよ。

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