Linuxディストリビューションの種類が多い理由を解説!初心者向けLinux入門ガイド
生徒
「Linuxっていろんな種類があるって聞いたんですけど、なんでそんなに種類が多いんですか?」
先生
「そうですね。UbuntuやFedora、Debianなど、たくさんのLinuxディストリビューションがありますね。これには理由があるんですよ。」
生徒
「Windowsは一つなのに、なんでLinuxだけそんなに種類があるんですか?」
先生
「それはLinuxの特徴と深く関係しています。今日はその理由をわかりやすく説明していきましょう。」
1. Linuxディストリビューションとは?
Linuxディストリビューションとは、Linuxというシステムの核となる部分に、さまざまなソフトウェアやツールを組み合わせてパッケージ化したものです。「ディストリビューション」は英語で「配布」という意味で、略して「ディストロ」とも呼ばれます。
例えるなら、お弁当のようなものです。ご飯(Linuxの核)は同じでも、おかずの種類や詰め方、お弁当箱のデザインが違うように、Linuxディストリビューションもそれぞれ特徴が異なります。Ubuntu、Fedora、Debian、CentOS、Arch Linuxなど、数百種類ものディストリビューションが存在しています。
WindowsやmacOSは企業が一つのバージョンだけを提供していますが、Linuxは誰でも自由にカスタマイズして配布できるという大きな違いがあります。
2. オープンソースという仕組み
Linuxディストリビューションが多い最大の理由は、Linuxがオープンソースソフトウェアだからです。オープンソースとは、プログラムの設計図である「ソースコード」が公開されていて、誰でも自由に見たり、改良したり、配布したりできる仕組みのことです。
料理のレシピが公開されていて、誰でもそのレシピを使って自分なりのアレンジ料理を作れる状態を想像してください。Linuxもこれと同じで、基本の設計図が公開されているので、個人や企業が自由に改良して新しいディストリビューションを作ることができます。
Windowsの場合、Microsoftという会社だけがプログラムを作る権利を持っているため、Windows 10やWindows 11といった限られたバージョンしか存在しません。しかしLinuxは誰でも作れるため、自然と種類が増えていくのです。
3. 目的に応じた専門性の違い
Linuxディストリビューションが多様化するもう一つの理由は、利用目的がそれぞれ異なるためです。すべての人が同じ目的でパソコンを使うわけではないので、用途に特化したディストリビューションが開発されています。
例えば、Ubuntu(ウブントゥ)は初心者でも使いやすいように設計されたデスクトップ向けディストリビューションです。一方、CentOSやRed Hat Enterprise Linuxはサーバー管理に特化しており、企業の業務システムで広く使われています。Kali Linuxはセキュリティ診断やハッキングテストのための専門的なツールが最初から入っているディストリビューションです。
これは、スポーツシューズに例えるとわかりやすいでしょう。ランニングシューズ、サッカー用スパイク、バスケットボールシューズなど、それぞれの競技に最適な靴があるように、Linuxもそれぞれの目的に最適化されたディストリビューションが存在するのです。
4. バージョン確認とディストリビューションの見分け方
自分が使っているLinuxディストリビューションを確認するには、ターミナルというコマンドを入力する画面で調べることができます。ターミナルはWindowsでいうコマンドプロンプトのような黒い画面のことです。
以下のコマンドを実行すると、使用中のディストリビューション情報が表示されます。
cat /etc/os-release
NAME="Ubuntu"
VERSION="22.04.3 LTS (Jammy Jellyfish)"
ID=ubuntu
ID_LIKE=debian
PRETTY_NAME="Ubuntu 22.04.3 LTS"
このcatコマンドは、ファイルの内容を表示する命令です。/etc/os-releaseというファイルには、オペレーティングシステム(OS)の情報が記録されています。この例ではUbuntu 22.04というディストリビューションが使われていることがわかります。
より簡潔に確認したい場合は、次のコマンドも便利です。
lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description: Ubuntu 22.04.3 LTS
Release: 22.04
Codename: jammy
lsb_releaseは、Linux Standard Base(LSB)という規格に基づいたディストリビューション情報を表示するコマンドで、-aオプションはすべての情報を表示するという意味です。
5. パッケージ管理システムの違い
Linuxディストリビューションが多い理由の一つに、パッケージ管理システムの違いがあります。パッケージ管理システムとは、ソフトウェアのインストールやアップデート、削除を簡単に行うための仕組みのことです。
主なパッケージ管理システムには、Debian系で使われるapt、Red Hat系で使われるyumやdnf、Arch Linux系で使われるpacmanなどがあります。スマートフォンのApp StoreやGoogle Play ストアのようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、Ubuntuで新しいソフトウェアをインストールする場合は以下のようにします。
sudo apt update
sudo apt install firefox
ここでsudoは管理者権限で実行するという命令、aptがパッケージ管理コマンド、updateは最新のパッケージリストを取得、installはソフトウェアをインストールするという意味です。
一方、Fedoraでは同じ操作を次のように行います。
sudo dnf install firefox
このように、ディストリビューションごとに使用するパッケージ管理システムが異なるため、それぞれに特化したディストリビューションが開発されているのです。
6. デスクトップ環境の選択肢
Linuxディストリビューションが豊富な理由として、デスクトップ環境の多様性も挙げられます。デスクトップ環境とは、ウィンドウやアイコン、メニューなど、画面上の見た目や操作方法を決める部分のことです。
代表的なデスクトップ環境には、GNOME(ノーム)、KDE Plasma、Xfce(エックスエフシーイー)、MATE(マテ)などがあります。それぞれ見た目や動作の軽さ、機能性が異なります。GNOMEはモダンでシンプルなデザイン、KDE Plasmaは高機能でカスタマイズ性が高く、Xfceは軽量で古いパソコンでも快適に動作します。
同じUbuntuでも、デスクトップ環境が違うバージョンが複数存在します。標準のUbuntuはGNOME、KubuntuはKDE Plasma、XubuntuはXfce、LubuntuはLXQtというように、デスクトップ環境ごとに派生ディストリビューションが作られています。
これは、同じ車種でもセダン、ワゴン、SUVなど、用途や好みに応じたボディタイプが選べるのと似ています。
7. コミュニティと企業による開発の違い
Linuxディストリビューションには、コミュニティ主導で開発されるものと企業がサポートするものの二つのタイプがあります。この開発体制の違いも、ディストリビューションが多様化する要因となっています。
Debianやarch Linuxは世界中のボランティア開発者によるコミュニティで開発されています。自由度が高く、最新技術を積極的に取り入れる傾向がありますが、サポートはコミュニティフォーラムや掲示板が中心です。
一方、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)やSUSE Linux Enterpriseは企業が開発・サポートしており、有償のサポート契約によって長期的な安定性と技術支援が提供されます。企業の業務システムでは、こうした有償サポートのあるディストリビューションが好まれます。
また、企業版ディストリビューションには無料版が提供されることも多く、RHELにはFedoraやCentOS Stream、UbuntuにはDebianというように、それぞれ関連するコミュニティ版が存在します。この関係性もディストリビューションの種類を増やす一因となっています。
8. 地域や言語に特化したディストリビューション
世界中で使われているLinuxには、特定の国や地域、言語に特化したディストリビューションも存在します。それぞれの地域の文化や言語環境に最適化されているため、利用者にとって使いやすくなっています。
例えば、中国のDeepinやKylinは中国語環境に最適化され、中国国内で広く使われています。トルコのParduはトルコ語に対応し、インドネシアのBlankOnはインドネシア語環境を重視しています。日本でもVine LinuxやBerry Linuxなど、日本語環境を重視したディストリビューションが開発されていた時期がありました。
これらのディストリビューションは、標準で日本語入力システムや日本語フォントが設定されていたり、地域で一般的なソフトウェアがあらかじめインストールされていたりします。初心者が自分の母国語環境で快適に使えるように配慮されているのです。
9. 軽量化と古いハードウェアへの対応
Linuxディストリビューションの中には、古いパソコンや性能の低いハードウェアで動作するように軽量化されたものがあります。Windowsの最新版が動作しない古いパソコンでも、軽量Linuxなら快適に使えることがあります。
Puppy Linux、antiX、Tiny Coreなどは、メモリが少ないパソコンや処理能力が低いCPUでも軽快に動作するように設計されています。これらは不要な機能を削ぎ落とし、必要最小限のソフトウェアだけを搭載することで、古いパソコンに新しい命を吹き込むことができます。
例えば、10年以上前のパソコンでメモリが2GBしかない場合でも、Puppy Linuxなら快適に動作します。これは、廃棄されるはずだったパソコンを再利用できるという環境面でのメリットもあります。
また、Raspberry Piのような小型コンピューターボード向けに最適化されたRaspbian(現在はRaspberry Pi OS)のような専用ディストリビューションも存在します。
10. 自由にカスタマイズできる文化
最後に、Linuxディストリビューションが多い根本的な理由は、自由とカスタマイズを重視するLinuxコミュニティの文化にあります。Linux利用者の多くは、既存のものをそのまま使うのではなく、自分の好みや用途に合わせてカスタマイズすることを楽しんでいます。
既存のディストリビューションに不満がある人や、特定の目的のために最適化したい人は、自分で新しいディストリビューションを作ることができます。プログラミングの知識があれば、誰でも独自のLinuxディストリビューションを開発して公開できるのです。
この自由な文化が、常に新しいアイデアを持ったディストリビューションが生まれ続ける理由です。中には個人の趣味で作られたものや、特定の業界向けに特化したもの、教育目的に作られたものなど、実に多様なディストリビューションが存在します。
Windowsのように企業が一つの製品を管理するのではなく、世界中の開発者が自由に開発できる環境があるからこそ、Linuxディストリビューションは多様性に富んでいるのです。この多様性こそが、Linuxの大きな魅力の一つといえるでしょう。