Linuxディストリビューションとは?初心者でもわかる意味と種類を徹底解説
生徒
「Linuxを勉強しようと思ったら、UbuntuとかCentOSとか、いろんな名前が出てきて混乱しています。これって全部Linuxじゃないんですか?」
先生
「それらは全部Linuxなんですよ。正確にはLinuxディストリビューションと呼ばれるものです。」
生徒
「ディストリビューション?難しい言葉ですね。何が違うんですか?」
先生
「簡単に言うと、Linuxという基本部分に、いろんな会社や団体が使いやすいように味付けしたものなんです。一緒に詳しく見ていきましょう。」
1. Linuxディストリビューションとは何か?
Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネル(中核となる基本システム)に、様々なソフトウェアやツールを組み合わせて、実際に使える形にパッケージ化したものです。英語では「Linux Distribution」と書き、略して「Linux distro(ディストロ)」とも呼ばれます。
これを身近な例で説明すると、スマートフォンに似ています。スマートフォンの中身(Android OS)は基本的に同じでも、メーカーによってデザインや付属アプリが違いますよね。SamsungのGalaxyとSONYのXperiaは、どちらもAndroidですが見た目や使い勝手が異なります。Linuxディストリビューションも同じで、中核は同じLinuxでも、配布する団体によって使い勝手やデザイン、付属するソフトウェアが違うのです。
2. なぜたくさんのディストリビューションがあるのか?
Linuxはオープンソース(誰でも自由に使える・改良できる)という特徴があります。そのため、世界中の個人や企業、コミュニティが、それぞれの目的に合わせて独自のLinuxディストリビューションを作ることができるのです。
例えば、初心者向けに使いやすさを重視したディストリビューション、サーバー用途に特化したディストリビューション、セキュリティを最優先にしたディストリビューション、古いパソコンでも軽快に動くディストリビューションなど、用途によって様々な種類が存在します。現在、世界中で数百種類以上のLinuxディストリビューションが公開されています。
3. Linuxディストリビューションの構成要素
Linuxディストリビューションは、主に以下の要素で構成されています。
Linuxカーネルは、オペレーティングシステムの中核部分です。ハードウェア(キーボード、マウス、ディスプレイなど)とソフトウェアの橋渡しをする、いわば心臓部です。これがないとコンピュータは動きません。
シェルは、ユーザーがコンピュータに命令を出すための窓口です。黒い画面でコマンドを入力するターミナルをイメージしてください。代表的なシェルには、bash(バッシュ)やzsh(ズィーシェル)などがあります。
echo $SHELL
/bin/bash
上記のコマンドを実行すると、現在使用しているシェルの種類を確認できます。echoは画面に文字を表示するコマンドで、$SHELLは使用中のシェルのパスが格納されている変数です。
デスクトップ環境は、マウスで操作できるグラフィカルな画面のことです。WindowsやmacOSのような、ウィンドウやアイコンがある画面です。GNOME(ノーム)、KDE Plasma(ケーディーイー プラズマ)、Xfce(エックスフェイス)などが有名です。
パッケージマネージャは、ソフトウェアのインストールや削除、更新を管理するツールです。WindowsでいうとMicrosoft Storeのようなものですが、コマンドで操作することが多いです。
4. 代表的なLinuxディストリビューション
初心者におすすめのLinuxディストリビューションをいくつか紹介します。
Ubuntu(ウブントゥ)は、最も人気のあるLinuxディストリビューションの一つです。初心者でも使いやすいように設計されており、日本語環境も充実しています。インストールも簡単で、デスクトップパソコンからサーバーまで幅広く使われています。パッケージマネージャにはapt(アプト)を使用します。
sudo apt update
ヒット:1 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy InRelease
取得:2 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy-updates InRelease [119 kB]
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
このapt updateコマンドは、利用可能なパッケージの最新情報を取得します。sudoは管理者権限で実行するという意味です。
Linux Mint(リナックス ミント)は、Ubuntuをベースにしながら、Windowsに似た操作感を持つディストリビューションです。Windowsからの移行を考えている初心者に特におすすめです。
Fedora(フェドラ)は、Red Hat社が支援するコミュニティベースのディストリビューションです。最新技術をいち早く取り入れる傾向があり、開発者やエンジニアに人気があります。
CentOS Stream(セントオーエス ストリーム)やRocky Linux(ロッキー リナックス)は、サーバー用途で広く使われています。企業の本番環境でも採用されることが多く、安定性が重視されています。
Debian(デビアン)は、非常に安定していることで知られ、多くのディストリビューション(Ubuntuなど)のベースになっています。古くから存在し、信頼性が高いです。
5. パッケージマネージャの違い
Linuxディストリビューションの大きな違いの一つが、パッケージマネージャです。パッケージマネージャとは、ソフトウェアをインストールしたり削除したりするための仕組みです。
Debian系(UbuntuやLinux Mintなど)では、aptやdpkgを使います。ソフトウェアは.debというファイル形式で配布されます。
sudo apt install vim
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了
以下のパッケージが新たにインストールされます:
vim vim-runtime
アップグレード: 0 個、新規インストール: 2 個
この例では、vimというテキストエディタをインストールしています。apt installの後にパッケージ名を指定するだけで簡単にインストールできます。
Red Hat系(FedoraやCentOS、Rocky Linuxなど)では、dnfやyum、rpmを使います。ソフトウェアは.rpmというファイル形式で配布されます。
この違いにより、同じソフトウェアでもインストール方法が異なることがあります。しかし基本的な考え方は同じなので、一つのディストリビューションに慣れれば、他のディストリビューションにも応用できます。
6. ディストリビューションの選び方
初めてLinuxを使う場合、どのディストリビューションを選ぶか迷うかもしれません。選び方のポイントをいくつか紹介します。
目的で選ぶことが最も重要です。デスクトップパソコンとして日常的に使いたいなら、UbuntuやLinux Mintが適しています。サーバーとして使いたいなら、CentOS StreamやRocky Linux、Debianが向いています。プログラミング学習なら、Ubuntuが情報も多くおすすめです。
パソコンのスペックも考慮しましょう。新しくて性能の良いパソコンなら、どのディストリビューションでも快適に動きます。しかし古いパソコンや性能が低いパソコンの場合は、Lubuntu(ルブントゥ)やXubuntu(ズブントゥ)のような軽量版を選ぶと良いでしょう。
情報量の多さも初心者には重要です。日本語の情報が豊富なUbuntuは、困ったときに解決策を見つけやすいです。マイナーなディストリビューションだと、トラブルが起きたときに解決に時間がかかることがあります。
コミュニティの活発さもチェックポイントです。活発なコミュニティがあるディストリビューションは、アップデートが頻繁で、セキュリティも安心です。
7. ディストリビューションのバージョン管理
Linuxディストリビューションには、様々なバージョンやリリースサイクルがあります。これを理解することで、より適切なディストリビューションを選べます。
LTS版(Long Term Support)は、長期サポート版という意味です。Ubuntuでは、2年ごとにLTS版がリリースされ、5年間のサポートが提供されます。安定性を重視する場合は、LTS版を選ぶと良いでしょう。企業や本番環境では、ほとんどがLTS版を使用しています。
通常版は、最新機能をいち早く試せる代わりに、サポート期間が短めです。Ubuntuの通常版は9ヶ月間のサポートです。最新技術を試したい開発者向けと言えます。
ローリングリリースという方式を採用しているディストリビューションもあります。Arch Linux(アーチ リナックス)やManjaro(マンジャロ)が代表的で、常に最新の状態に更新され続けます。大きなバージョンアップという概念がなく、常にアップデートし続ける形式です。
8. 実際にディストリビューションを確認してみよう
自分が使っているLinuxディストリビューションの情報を確認するコマンドを紹介します。
cat /etc/os-release
NAME="Ubuntu"
VERSION="22.04.1 LTS (Jammy Jellyfish)"
ID=ubuntu
ID_LIKE=debian
PRETTY_NAME="Ubuntu 22.04.1 LTS"
VERSION_ID="22.04"
このコマンドを実行すると、現在使用しているディストリビューションの名前やバージョン、IDなどの詳細情報が表示されます。catはファイルの内容を表示するコマンドで、/etc/os-releaseはシステム情報が記録されているファイルです。
他にもunameコマンドを使うと、カーネルのバージョンを確認できます。カーネルはLinuxの心臓部なので、このバージョンを知ることで、システムの詳細がわかります。また、どのディストリビューションを使っていても、中核となるLinuxカーネルは共通しているという事実も理解できるでしょう。
9. ディストリビューション間の移行について
Linuxを使い始めると、別のディストリビューションに興味が出てくることがあります。実は、ディストリビューションの移行は比較的簡単です。
多くのLinuxディストリビューションは、USBメモリやDVDから起動して試すことができるライブ環境を提供しています。インストールする前に、実際に動作を確認できるので安心です。気に入ったら、そのままインストールすることもできます。
また、Linuxの基本的なコマンドや操作方法は、どのディストリビューションでもほぼ共通しています。ファイル操作のls、cd、cp、mvなどのコマンドは、どのディストリビューションでも同じように使えます。ですから、一つのディストリビューションで学んだ知識は、他のディストリビューションでも活かせます。
違いが出るのは、主にパッケージマネージャやデスクトップ環境、設定ファイルの場所などです。しかしこれらも、基本を理解していれば対応できる範囲です。最初は一つのディストリビューションをしっかり学び、慣れてきたら他のディストリビューションも試してみると良いでしょう。