AWS Direct Connectのルーティング設計(BGP設定の基本)を初心者向けにやさしく解説
生徒
「AWS Direct Connectの説明を見ていたらBGPっていう設定が出てきたんですが、これは何ですか?」
先生
「BGP(ビージーピー)はBorder Gateway Protocol(ボーダー・ゲートウェイ・プロトコル)の略で、ネットワーク同士がどの経路で通信するかを決めるためのルーティングプロトコルです。AWS Direct Connectでも通信経路を自動的に学習・交換するために使われます。」
生徒
「なるほど。でもルーティングって難しそうですね…。初心者でも設定できますか?」
先生
「基本の流れと設定項目を押さえれば初心者でも理解できますよ。AWS Direct ConnectのBGP設定は画面上の入力欄に沿って進めれば大丈夫です。では順番に説明しますね。」
1. BGPとは?
BGP(ビージーピー)は、インターネットや大規模ネットワークで使われるルーティングプロトコルの一種です。AWS Direct Connectでは、オンプレミス(自社ネットワーク)とAWSクラウド間での経路情報のやり取りに利用します。
例えば、自宅から会社までの道順をカーナビが案内するように、BGPは「どの経路を使ってデータを送るか」を決めます。これにより、回線の障害時に別の経路へ自動的に切り替えることも可能です。
2. AWS Direct ConnectにおけるBGPの役割
AWS Direct Connectでは、BGPを使ってオンプレミスとAWS間でルート(経路情報)を自動的に交換します。これにより、手動でルートを設定する必要がなくなり、ネットワーク変更にも柔軟に対応できます。
例えば、VPC(ブイピーシー)の新しいサブネットを追加した場合、BGPがその情報をオンプレミス側に自動で伝えてくれるため、接続設定を最小限で済ませられます。
3. BGP設定に必要な情報
BGPを設定するためには以下の情報が必要です。
- ASN(エーエスエヌ)番号:Autonomous System Number(オートノマス・システム・ナンバー)の略で、ネットワークを識別するための番号。
- BGPピアIPアドレス:オンプレミスとAWS間で経路情報を交換するためのIPアドレス。
- BGPパスワード(任意):BGPセッションを安全に確立するための認証情報。
- VLAN ID:物理回線上で通信を分離するための番号。
4. AWS Direct ConnectでのBGP設定手順
以下はAWSマネジメントコンソール(マネジメントコンソール)からの基本的なBGP設定手順です。
- 仮想インターフェースの作成 Direct Connectの画面から「仮想インターフェースを作成」を選択します。
- 必要情報の入力 接続タイプ(プライベートVIFまたはパブリックVIF)を選び、ASN、BGPピアIPアドレス、VLAN IDを入力します。
- BGPパスワードの設定(任意) セキュリティ向上のため、BGPパスワードを設定します。
- 作成と確認 作成後、BGPセッションが「アップ」状態になることを確認します。
5. BGP設定時の注意点
- ASN番号はAWS側とオンプレミス側で異なるものを設定します。
- BGPピアIPアドレスは正確に入力しないとセッションが確立されません。
- 複数経路を持つ場合は、優先度設定(プレフィックス長やMED値)を検討します。
- ルートフィルタリングを行い、不要な経路を通さないようにします。
6. 設定後のテストと監視
設定が完了したら、オンプレミス側からAWSリソースへの接続テストを行います。Ping(ピング)やtraceroute(トレースルート)で経路を確認するのが有効です。また、CloudWatch(クラウドウォッチ)を使ってBGPセッションの状態を監視することで、障害検知が迅速に行えます。
まとめ
ここまでAWS Direct ConnectにおけるBGP設定の基本や役割、必要となるASN番号やBGPピアIPアドレスの仕組み、仮想インターフェース作成時の入力項目、ルート交換の流れなどを順序立てて見てきました。あらためて振り返ると、BGPは単なる設定項目のひとつではなく、オンプレミスとAWSクラウドを安定してつなぐために欠かせない重要な基盤であり、ネットワーク全体の信頼性や可用性を左右する存在だという点がよく分かります。とくに、経路制御やルーティングポリシーは大規模なシステム運用で大きな力を発揮し、障害発生時のフェイルオーバーやネットワークの最適化にもつながります。そのため、初心者でも押さえておくべき要点をしっかり理解しておくことが、安定したAWS接続を運用するうえでとても役立ちます。
また、AWS側とオンプレミス側の双方で正しいASN番号を設定することや、VLAN IDの割り当てが適切であるかを確認することは、Direct Connectの基本ですが、意外と入力ミスや認識違いが発生しやすい部分です。このような細かい要素を丁寧に整えておくことで、BGPセッションが安定して確立され、予期しない通信断や迂回経路の問題を未然に防ぐことができます。さらに、サブネット追加時に自動でルートが拡張される便利さや、ルートフィルタリングによる経路制御の柔軟性は、実際の運用現場で非常に大きなメリットとなります。ネットワーク監視にはCloudWatchを活用し、必要に応じてアラームを設定することで、ネットワークの変化にすぐ気付ける安定した運用体制を構築できます。
以下は今回の振り返りを踏まえ、Direct Connect環境でよく利用される構成例を簡単なサンプルコードにまとめたものです。実際のBGP設定内容をイメージしやすくするため、記事内で紹介してきた項目を同じclassやタグを使って整理しています。オンプレミス機器側の設定例として理解しやすい形で記載しているため、実際のネットワーク設計を考える際にも参考になるはずです。
サンプルプログラム(オンプレミス側ルータ設定例)
router bgp 65010
neighbor 169.254.10.1 remote-as 64512
neighbor 169.254.10.1 password XXXXXX
network 10.1.0.0 mask 255.255.0.0
maximum-paths 2
!
interface vlan120
description AWS-DirectConnect-VIF
ip address 169.254.10.2 255.255.255.252
!
このように、AWS Direct ConnectとBGPを組み合わせることでオンプレミスとAWS環境を効率良く接続でき、ルート更新も自動化されるため、運用負荷の軽減やネットワーク設計の自由度向上につながります。とくに複数拠点からAWSへ接続するような構成では、BGPの知識が非常に役立ちます。経路制御を適切に設計し、冗長化構成を組み合わせれば、強固で安定したハイブリッドクラウド環境を実現できます。今回のまとめを参考に、ネットワークの全体像と基本設定をしっかり理解しておくことで、自信を持ってAWS Direct Connectの構築や改善に取り組めるようになるでしょう。
生徒:きょうの説明で、BGPがただの設定じゃなくて経路制御の中心なんだってわかりました。でもまだ少し複雑なイメージがあります。
先生:最初はそう感じる人が多いですよ。ですが、ASN番号やBGPピアIPアドレスの意味、ルート交換の仕組みが分かってくると、一気に理解しやすくなります。Direct Connectの設定画面とひもづけて覚えるとさらに良いですね。
生徒:確かに、仮想インターフェースを作る流れが分かってからはつながって見えるようになってきました。あと、サブネット追加時に自動でルートが伝わるのは便利だと思いました。
先生:そのとおりです。BGPは自動化と冗長化の両方に強いので、AWSとオンプレミスの接続には非常に相性が良いんです。慣れてきたらルートフィルタや優先度制御にも挑戦してみると、より深く理解できますよ。
生徒:はい、今回のまとめとサンプル設定もすごく参考になります。自分でも試してみたいです。
先生:ぜひやってみてください。実際に触ってみることでBGPへの理解がさらに深まりますよ。