bashとは?Linuxで標準的に使われる理由を初心者向けに完全解説
生徒
「Linuxを勉強していると『bash』っていう言葉をよく見かけるんですが、これって何ですか?」
先生
「bashは、Linuxでコマンドを実行するときに使う『シェル』と呼ばれるプログラムの一つです。あなたがターミナルに文字を打ち込んで命令を出すとき、その命令を受け取って実行してくれるのがbashなんですよ。」
生徒
「シェル…?なんだか難しそうですね。なぜLinuxではbashが標準的に使われているんですか?」
先生
「大丈夫、順番に説明していきますね。bashが人気なのには、ちゃんとした理由があるんです。一緒に見ていきましょう。」
1. bashとは何か?
bashは、「Bourne Again Shell」の略称で、Linuxやその他のUnix系オペレーティングシステムで広く使われているコマンドラインインターフェース(CLI)です。シェルとは、簡単に言うと「人間とコンピュータの橋渡し役」のようなプログラムです。
私たちがキーボードから「このファイルを表示して」「このプログラムを実行して」といった命令を文字で入力すると、bashがそれを受け取ってコンピュータに伝え、実際の処理を行ってくれます。Windowsで言えば、コマンドプロンプトやPowerShellに近い存在です。
bashは1989年にブライアン・フォックスによって開発されました。名前の「Bourne Again」は、元になった「Bourne Shell(sh)」をさらに改良したという意味が込められています。現在では、ほとんどのLinuxディストリビューション(Ubuntu、CentOS、Debianなど)で標準シェルとして採用されています。
2. シェルの役割を身近な例えで理解しよう
シェルの役割を理解するために、レストランを例に考えてみましょう。あなた(ユーザー)がお客さん、コンピュータの心臓部(カーネル)がキッチン、そしてシェル(bash)がウェイターだと想像してください。
お客さんであるあなたは、キッチンの中に直接入って「この料理を作って!」とは言えません。その代わり、ウェイターに注文を伝えます。ウェイターは注文をキッチンに伝え、できあがった料理をあなたに届けてくれます。
これと同じように、bashは私たちの命令をコンピュータの中核部分に伝え、処理結果を画面に表示してくれる「仲介役」なのです。私たちがターミナルでlsやcdといったコマンドを入力すると、bashがそれを解釈してシステムに実行させているわけです。
3. bashの基本的な使い方
bashを使うには、ターミナルやコンソールと呼ばれる黒い画面(または白い画面)を開きます。そこにコマンドを入力してEnterキーを押すだけです。試しに簡単なコマンドを実行してみましょう。
echo "Hello, bash!"
Hello, bash!
このechoコマンドは、指定した文字列を画面に表示する命令です。bashがこの命令を受け取り、「Hello, bash!」という文字を出力してくれます。
次に、現在どのディレクトリ(フォルダ)にいるかを確認するコマンドを実行してみます。
pwd
/home/user
pwdは「Print Working Directory」の略で、現在作業しているディレクトリのパス(場所)を表示します。この例では/home/userというディレクトリにいることがわかります。
4. Linuxでbashが標準的に使われる理由
Linuxでbashが標準シェルとして広く採用されている理由はいくつかあります。まず一つ目は高い互換性です。bashは古くからあるBourne Shell(sh)の機能をすべて含んでいるため、昔のシェルスクリプト(自動化のためのプログラム)もそのまま動かせます。
二つ目は豊富な機能です。コマンド履歴の検索、タブキーによる自動補完、エイリアス(コマンドの短縮名)の設定など、作業を効率化する便利な機能が多数搭載されています。たとえば、長いコマンドを途中まで入力してTabキーを押すと、残りを自動で補完してくれます。
三つ目はスクリプト言語としての強力さです。bashは単にコマンドを実行するだけでなく、変数、条件分岐、ループなどのプログラミング機能も備えています。これにより、複雑な処理を自動化するシェルスクリプトを書くことができます。
四つ目は無料でオープンソースであることです。誰でも自由に使え、改良もできます。この自由さがLinuxの哲学とも合致しているため、多くのディストリビューションで採用されています。
5. 他のシェルとの違い
実は、シェルにはbash以外にもいくつか種類があります。代表的なものとして、sh(Bourne Shell)、zsh(Z Shell)、fish(Friendly Interactive Shell)、ksh(Korn Shell)などがあります。
shはbashの元になったシェルで、シンプルですが機能は限定的です。zshはbashよりもさらに高機能で、より強力な補完機能やテーマのカスタマイズができます。最近のmacOSではzshが標準シェルになっています。fishは初心者に優しい設計で、最初から多くの便利機能が有効になっていますが、bashとの互換性は低めです。
それでもbashが多くのLinuxシステムで標準とされているのは、長年の実績と信頼性、そして広範な互換性があるためです。インターネット上のLinux関連の情報やチュートリアルのほとんどがbashを前提としているため、初心者が学習する際にも迷いにくいというメリットもあります。
6. bashのバージョンを確認する方法
自分の使っているbashのバージョンを確認するには、次のコマンドを使います。
bash --version
GNU bash, version 5.1.16(1)-release (x86_64-pc-linux-gnu)
このコマンドを実行すると、インストールされているbashのバージョン情報が表示されます。バージョンによって使える機能が少し異なる場合があるため、トラブルシューティングの際に確認すると役立ちます。
また、現在使用しているシェルがbashかどうかを確認するには、次のコマンドを使います。
echo $SHELL
/bin/bash
$SHELLは環境変数と呼ばれるもので、現在使用しているシェルのパスが格納されています。/bin/bashと表示されれば、bashを使っていることがわかります。
7. bashの便利な機能
bashには作業効率を上げる便利な機能がたくさんあります。ここでは特に初心者が知っておくと役立つ機能を紹介します。
コマンド履歴機能では、過去に実行したコマンドを矢印キーの上下で呼び出せます。また、historyコマンドで履歴の一覧を表示できます。長いコマンドを何度も打ち直す手間が省けます。
タブ補完機能は、コマンドやファイル名を途中まで入力してTabキーを押すと、残りを自動で補完してくれる機能です。ファイル名が複数候補ある場合は、Tabキーを2回押すと候補の一覧が表示されます。
エイリアス機能を使えば、長いコマンドに短い名前をつけられます。たとえば、alias ll='ls -la'と設定すれば、以降はllと入力するだけでls -laが実行されます。よく使うコマンドを短縮できて便利です。
パイプとリダイレクトという機能も重要です。パイプ(|)を使うと、あるコマンドの出力を別のコマンドの入力として渡せます。リダイレクト(>や>>)を使えば、コマンドの出力をファイルに保存できます。
8. bashスクリプトの基礎
bashは対話的にコマンドを実行するだけでなく、複数のコマンドをまとめて自動実行する「bashスクリプト」を作成できます。これは、定期的に行う作業や複雑な処理を自動化するのに非常に便利です。
bashスクリプトは、テキストファイルにコマンドを書き並べ、拡張子を.shにして保存します。ファイルの最初の行には、#!/bin/bashと書くのが慣例です。これは「このスクリプトをbashで実行してください」という指示になります。
スクリプトには変数も使えます。変数は変数名=値の形式で定義し、$変数名で値を取り出します。条件分岐にはif文、繰り返し処理にはfor文やwhile文を使います。これらの機能を組み合わせることで、かなり高度な自動化が可能になります。
たとえば、バックアップを自動で取るスクリプトや、特定の条件でファイルを整理するスクリプトなど、アイデア次第で様々な作業を効率化できます。プログラミング経験がない人でも、基本的なコマンドの組み合わせから始めれば、徐々にスクリプトを書けるようになります。
9. bashの設定ファイル
bashの動作は、設定ファイルを編集することでカスタマイズできます。主な設定ファイルは、ホームディレクトリにある.bashrcや.bash_profileです。これらのファイルには、起動時に自動実行したいコマンドやエイリアスの定義などを書き込みます。
.bashrcは、新しいターミナルウィンドウを開くたびに読み込まれる設定ファイルです。ここにエイリアスや環境変数の設定を書いておくと、毎回自動で適用されます。一方、.bash_profileは、ログイン時に一度だけ読み込まれます。
これらの設定ファイルは隠しファイル(ファイル名が.で始まるファイル)なので、通常のlsコマンドでは表示されません。ls -aコマンドを使うと、隠しファイルも含めてすべてのファイルを表示できます。設定ファイルを編集することで、自分だけの使いやすいbash環境を作り上げることができます。
10. bashを学ぶメリット
bashを学ぶことには、多くのメリットがあります。まず、Linuxサーバーの管理に必須です。ウェブサーバーやデータベースサーバーの多くはLinuxで動いており、それらを操作するにはbashの知識が不可欠です。システム管理者やサーバーエンジニアを目指すなら、bashは必ず習得すべきスキルです。
次に、作業の自動化ができるようになります。手作業で何度も繰り返す作業を、スクリプトで自動化すれば時間を大幅に節約できます。データの整理、ファイルの一括処理、定期的なバックアップなど、様々な場面で活用できます。
また、プログラミングの基礎を学べるという側面もあります。bashスクリプトを書くことで、変数、条件分岐、ループといったプログラミングの基本概念を理解できます。他のプログラミング言語を学ぶ際の土台にもなります。
さらに、キャリアの選択肢が広がる点も見逃せません。クラウドエンジニア、DevOpsエンジニア、データサイエンティストなど、様々な職種でbashのスキルが求められています。習得することで、IT業界での就職や転職に有利になります。